砂漠の夜の幻想奇談
第十三話:恋敵、現る


 気分は上々。

砂漠の横断を終え、ダマスの街が見えてきた時、サフィーアの心は晴れ晴れとしていた。


バグダードにいた時はシャールカーンのことでモヤモヤしたり落ち込んだりしていたが、結局のところ寛大な年上の王子の発言に救われた。



――嫌うはずないだろう?怒って一人ツンツンしているサフィーアも含めて、全部好き



サラッと言われたが、サフィーアの胸にいつまでも響いた甘いセリフ。


そして、シャールカーンへの想いを自覚する。

今度求婚されたら真っ赤になって頷いてしまうだろう、と本人は確信していた。


「ふう、やっと到着か。いちいち徒歩でなど…。人間とはつくづく面倒な生き物だな」

街に入り、行列の正面に太守の屋敷が現れる。

サフィーアが乗るラクダを引きながらダハナシュが独り言を漏らした。


< 418 / 979 >

この作品をシェア

pagetop