砂漠の夜の幻想奇談

告白された瞬間、サフィーアの潤んだ瞳からぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。

過去に何度か軽く言われた「結婚してくれ」という言葉よりも、今の方が気持ちのこもった告白に聞こえたのだ。


(私も、シャールとずっと一緒にいたい…!)


自分の想いを伝えたくてサフィーアは何度も頷きながらシャールカーンの腰に抱き着いた。

「いいってこと?わかってる?俺と結婚するんだよ?」


(わかってるもん!)


さらにギュッと腕の力をこめてやれば、シャールカーンの照れたような笑い声が聞こえた。

それから耳元に、少々の危険を孕んだ甘美な囁きが降ってくる。


「もう逃がさないからね」


再び落とされた情熱的な口づけを、サフィーアは嬉しそうに受け入れた。








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