砂漠の夜の幻想奇談
第二十二話:人質の王妃


 カイサリアの若い将ファリド率いる軍を破り、勢いに乗るシャールカーン達。

これからさらに北へと進む予定だが、今は休息中である。


陣営内では兵士達が明日の出発に備えて思い思いに身体を休めていた。

「チェック、です」

「あっ!クソ!」

チェス勝負をしているのはテオドールとトルカシュ。

先にチェックをかけたのは、なんとテオドールだった。

ついこの間まで基本プレイもままならなかったあのテオドールが、トルカシュを相手に攻めている。

実を言えばトルカシュもチェスの腕はテオドールなみに弱かった。

どっこいどっこいのイイ勝負。

互いに母国語しか話せない二人だが、盤を囲む様子は楽しそうである。


「………」

そんな彼らを第三者目線で眺めながらイライラしているのがこの方――カシェルダだった。

イライライラ。

貧乏揺すりを繰り返す。


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