砂漠の夜の幻想奇談

「姫…?何か、私に伝えたいことがあるのですか?」

首を勢いよく縦に振れば、カシェルダはテント内を見回した。

「紙と筆は………ないか。なら…姫。私の手の平に指で文字をお書き下さい。読み取ります」


(わかったわ)


難しいが、ゆっくり書けばカシェルダならちゃんと読み取ってくれるだろう。

サフィーアは指で彼の手の平に「妊娠した」と書いた。




「………え?」



読み取ったのはいいが、カシェルダはまさかの告白に唖然。


「妊娠…?姫、どこかで単語を間違えましたか?」


(間違ってないわ!あってる!)


満面の笑顔で「妊娠しました」をアピールするサフィーア。

護衛官はショックを隠せない。

「嘘だ……姫が妊し――まさかっ!ルームザーンとの!?」


(ち、違うわ!なんでそうなるの!?)



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