砂漠の夜の幻想奇談
「申し訳ございません…理由は私にも、わかり兼ねます」
「わかり兼ねるだと!?」
更なる怒号が飛んでくる前にシャールカーンは俯けていた顔を上げた。
「ですから!責任を持ち、私が必ずサフィーアを奪還致します!」
意志の強い、真っ直ぐな眼差し。
見上げられたアフリドニオス王はしばし黙した。
「………何か、策はあるのか?」
「それは…カイサリア側がどう出るかによって、変わります。おそらくサフィーアを人質に何かしら要求をしてくるでしょうから」
「相手の出方を待つか」
「はい」
シャールカーンの瞳を見つめ、思案する。
少ししてアフリドニオス王は言った。
「ふむ……良いだろう。サフィーアのことはシャールカーン王に任そう」
「ありがとうございます…!」