砂漠の夜の幻想奇談

かつては宮廷で権力をほしいままにしていたアフマードの一族。

しかし、あまりに力を持ったため王家から危険視され、宮廷勤めからバスラへと左遷。

謀反を企てたわけでもないのに、この仕打ち。

祖父は王家を恨み、孫のブドゥールを王の後宮に入れた。

友好のためと言いつつ、腹の中には深い憎しみと野望を抱えて。


(しかし、奴らめ。あの分ではダウールマカーンを偽者と疑っておるな)


文書庫の入口からチラチラと盗み見て、思案する。


(どんな手を打ってくるかわからん。しばらく動きを見張ってみるか)


アフマードは気づかれないよう息を殺して監視を続けた。








< 833 / 979 >

この作品をシェア

pagetop