モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

穏やかな日の帰り道―朔夜


「それでね、朔夜様。」

腕に抱きかかえた沙羅が、
それはそれは楽しそうに
友人たちとの会話の内容を
語るのを聞きながら、
朔夜は馬を駆り
モントリヒト城を目指した。

朔夜と沙羅は、現在、
お互いの兄姉と一緒に
その城に住んでいる。


モントリヒト城。


このあたり一帯の領主、
モントリヒト公爵
ファノラム・フェルノフォート卿と
その妻子が住んでいた、城。

病でフェルノフォート卿が
他界したあとも、公爵夫人を始め、
幾人もの使用人が
住んでいたらしいが、
更に数年後の火事で夫人と
後継ぎを含む全員が
行方不明となり、
無人の廃墟と化したと
いわれる場所。

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