モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

不埒な夢―朔夜


「…落ち着きましたか?」

「は…い、朔夜様…。」

凍夜の大人げない
八つ当たりのせいで
すっかりしょげて
しまった沙羅は
結局、部屋でも
ずっと泣いていた。

ソファーに座らせ、
自身も隣に座り、
お茶とお菓子で気分を
そらさせながら、
朔夜は彼女をなだめ、
ようやく、泣き
やませることに成功する。

「あ…ありがとうございます…。」

涙でぬれた顔にハンカチで
そっと触れながら、
いいんですよ、と微笑めば、
沙羅は少しだけはにかんだ。

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