モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜


「…。」

不審に思って、ローラは駆けだした。

メリッサは、あれでずいぶんな
気づかい屋だ。

間違っても、こんな時間に
あんな大きな音を立てて
窓を閉めたりしない。

「メリッサ!何かあったの!?」

ノックもせず、彼女の部屋の
ドアを開ける。

慌てて飛び込んだ部屋で、
ローラの目に映ったのは
予想だにしない光景だった。

「…あ、あなた…メリッサに
何をしてるの!?」

「騒ぐな。この女に傷がつくよ。
この身体は大事な商売道具だろ。」

「!」

部屋にはメリッサと、
シスター服の若い女がいた。

背後からメリッサの口を塞ぎ
ナイフを突き付ける女は、
ローラの乱入にも動じず冷静にいう。

「…ドアを閉めて、鍵をかけろ。」

メリッサの肌に、銀色の刃先が食い込む。

ローラは相手を刺激しないように
静かに指示に従った。

< 252 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop