モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

今日、姫乃がやったことで、
凍夜の機嫌に障る
可能性があるのは、
屋根に上ったことと、
性懲りもなくエンドウ豆の
クッキーを食べさせようと
したことだけれど、どちらも、
口をきかないほど
機嫌を損ねた様子はなかった。

だから、機嫌が悪い理由は、
夕食前に話題にのぼった
誕生日の件で間違い
ないと思う。

…きっと、ちゃんと
教えていれば、
お祝いしてくれるつもり
だったのだろう。

「悪気は、なかったのよ。
すっかり忘れてたの。
聞くのも、教えるのも。」

「…別に怒ってはいないよ。」

姫乃の推測は当たって
いたようで、凍夜は
姫乃の言葉を否定しなかった。

いつもとは違う返事に、
姫乃はどうすればいいか、
迷う。

「…。どうしたら、
機嫌を直してくれるの。」

迷って、やっぱり先ほどと
同じ質問をした。

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