【完】泣き顔スマイル





生まれたばかりのヒナが最初に目にしたものに懐くように、マルのそれも偶然俺が隣に住んでいたからなんじゃないか。


考え出したら、キリがなかった。

こんなに誰かのことで頭を使うこと自体初めてで、でもそれが好きということなのかは分からない。


美香さんのときは、単純にこの人いいなと思ったからだけど、マルの場合この人も何も、マルはマルだ。


『次はー新庄路。新庄路。
お降りのお客様は…』


車掌のアナウンスによって今自分が電車に乗っていることに気づきハッとする。

降りる駅は次の次だ。




< 113 / 143 >

この作品をシェア

pagetop