【完】泣き顔スマイル




体の体位を変えたことではだけたTシャツの裾から覗く太腿。


何も知らないところで俺を誘惑して…

本気で襲える訳もないので、俺は溜息を吐いてから、ベッドから掛物を引っ張ってそれをマルの腰にかけた。


この行為を是非買ってほしい。


そうしてマルから離れようとした瞬間


「しゅー…ちゃ…ん」

「っ」


そのか細い寝言によってある感情が押し寄せ、そして歯止めが効かなくなった。


寝息を立てているその無防備な寝顔に自分の顔を近づける。


「……バカじゃねーの」




投げるように吐いた言葉と共に


────その白い頬にキスを落とした。




何も知らないマル。

俺だけが知ってる事実。





< 142 / 143 >

この作品をシェア

pagetop