【完】泣き顔スマイル
「なんで?
美香さんがいるときは
私も大人しく宿題してるのに」
「気が散るから」
「気が散るって?」
「マルがいたら勉強に集中出来ない」
「……そっかあ。
修ちゃん本気なんだねえ」
あのときの本気を修ちゃんは受験のことだと捉えていたけど、私は美香さんの事に対して言ったんだよ。
例え彼女がいてもその間に私が入ることを許していた修ちゃんが、初めて入ることを拒んだ瞬間だった。
私は少女誌を持つと虚しく部屋を出る。
「うぇえー…っ」
そうして家に帰ってボロボロ涙を零した。
修ちゃんも大好きだけど、美香さんも大好きだから安易に邪魔も出来なくて。
美香さんが来る日、足は修ちゃん家へ向かっていたけれど門の前で引き返した。