大切な人




昼休み、あたしは美佳に広田晃輝を呼び出したことを言ってから、屋上へ向かった。





ガチャ…





そこには眼鏡をかけながら読書をしている広田晃輝がいた。





「あ、あの…」





あたしが小さな声で言うと、広田晃輝は耳がいいのか、すぐに反応して、本を閉じた。






「なんですか?」





冷静に聞いてくる広田晃輝の目は、あたしを知らない人として見ていた。






「あのさ…」





あたしは勇気を振り絞って聞いた。







「あたし、吉澤彩希です…」





「え、あ、うん」






曖昧な返事をする広田晃輝。






なんか寂しい…?






「あたしのこと…覚えてる?」






広田晃輝は一瞬目を細めたが、





「いえ、初めてお会いすると思いますが」








冷たく、言い放った――――――
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