掻きむしった心臓。

「高校は、兄貴は志望校だった都内一の進学校に主席入学。俺はここ。フツーの公立高校」


冷たい風が肌を撫でて髪で遊んでいく。



「たった一回、兄貴と俺の合格発表が終わった夜だったと思う。兄貴、俺に言ったんだ。“お前は呼吸ができていいな”って」



呼吸。

息を吸うこと。
そして吐くこと。


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