捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。

~真実を知る時

 
***


……事件は突然起こった。

何てことのない、ただの水曜日のこと。

いつものように自社製品のパンフレットのデザイン作業をしていると。


「横山さん」

「あ、はい」

「今日溝田さんのところにフライヤー届くと思うから、15時過ぎに小会議室に持っていってもらえないか?軽く説明もしてほしいんだ」

「え?私、ですか?」

「今日は溝田さん休みだし、横山さんが水曜の残業で少し作業していた分だから、横山さんが一番詳しいと思うんだ。頼めるかな?」


昨日、溝田さんがそんなことを言っていた気がする。

「明日、営業とか相手会社と交えた会議があるんだよね」って。

相手会社がどこかは言ってなかったけど。

……ていうか、私が作業していたものってことは。

惣介さんの会社とのコラボ商品だ……。

まさか……惣介さんが来るなんてこと……?

いやいやいや。そんな偶然あるわけない。

と思いながらも、その小さな可能性にドキドキしてしまう私がいる。


「えっと……フライヤー配って、軽く説明すればいいんですよね?」

「あぁ。詳しいことは企画や営業の方で話すだろうから。フライヤーのイメージだけ伝えればいい」


それくらいならきっとできる。

でも、表に出る機会なんて滅多にないし緊張するけど……やるしかない。


「わかりました」

「うん。じゃあ、頼むよ」

「はい」


突然降ってきた仕事に戸惑いながらも、私は説明すべきことを文章にまとめて、15時過ぎに小会議室に行った。

 
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