航平さんと雨芽ちゃん

雨芽side



「はい。これ家の鍵。
出てく時閉めて郵便受けに入れといてくれ。」
朝、部屋から出てきた航平は既にスーツ姿がキマってて、出社準備万端のようだったから何も食べないのか聞いたら、鍵を差し出してそれだけ言って会社へ行ってしまった。


「ごめんなさい。
でも…あそこには帰りたくないの。」
自分以外誰も居なくなった部屋で1人そう呟いた。



「…で?今、見知らぬおじさんの家に居ると??」
駅の近くの喫茶店で親友の鈴原 理咲(スズハラ リサ)と待ち合わせて向かい合って座り、少し航平の話をした私に理咲は頬杖つきながらそう聞いてきた。


「おじさんじゃなく、航平。
全然見た目は若いんだから。」
「はいはい。
大丈夫なの?」
「何が?」
「その人危なくないのかって事。」


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