航平さんと雨芽ちゃん
面倒な同居人。

航平side



「お帰りなさい。」
夜の10時過ぎ…残業を終え帰宅すると、玄関で見慣れぬ笑顔に出迎えられた。


「何で居んだ?」
「お疲れ様!」
「一晩だけって言っただろ?」
「お腹空いてる??」
「話を聞け。」
「聞いてるよ?
私も昨日暫く置いてほしいって言ったでしょ。
バイトと住むところが見つかるまでだから…お願い‼」
問いかけに答えない雨芽に話を聞くように言うと、両手を合わせてそう必死に言ってきた。


「無理だ。
出てけ。」
「何?
航平は行く宛のない女の子を追い出すの??
誰かに連れてかれて人身売買や売春とかトラブルに巻き込まれたらどうするの?
それに寒さで凍死したり、飢え死にしたら??」
「お前、外が危ないって主張ばっかりしてるけど、逆に俺が安全だとでも思ってんのか??」
「ううん。
そうじゃない。
でも、航平なら大丈夫だと思ったの。」
俺の問いかけに、雨芽は初めて真剣な顔で真っ直ぐ見つめてそう答えた。



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