航平さんと雨芽ちゃん


「そうか。
ベビーリングって何だ?」
「何か、赤ちゃんが生まれた記念に誕生石で指輪作ってプレゼントするんだって。
‘健やかで、幸せに育ちますように’って想いを込めて。
私も知らなかったから調べて知った事なんだけど。
…と言っても私にこれをくれた人の気持ちは正直分かんない。」
「そうか。
じゃあなくさないように気を付けないとな。」
「うん。
そうだね。」
「それをくれた人にお前は会いたいと思うか??」
「別にそうでもないよ。」
俺の質問に何でもなさそうに答えながらも、視線は掌に乗ったペンダントにジッと固定されていた。


ペンダントを雨芽に与えた人。
それはきっとアイツの…母親だろう。


雨芽は実際どう思ってるのか気にはなったけど、それを聞いて良いほど俺達は付き合いが長いわけでもないし、これ以上踏み込んでしまうともう後には戻れないくらい深みにはまってしまいそうで、この先の質問は出来なかった。


「そうか。
じゃあ、俺は風呂入ってくるわ。」
「うん。
おやすみ。」
そう言葉を交わすと、俺は再び脱衣所に向かった。


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