航平さんと雨芽ちゃん


「本当に親父がそう言ったのか?」
「はい。
どういう意図でそう言ったのか分かりませんが、もともとあの人の籍に入ってないし、その見合い相手と結婚させて私をなかった事にしたいのかと思ったんです。
いつもあの人の言う通りにしてきました。

でも、今回ばかりは嫌だった。
それならば出て行こうって。」
「ごめん、知らなかった。
けど、違うから。」
「何が違うの??」
だんだん気持ちが昂ってきて、敬語じゃなくなったけど私はもうあの家の操り人形じゃないからどうでも良かった。


「もう懲り懲り!
私が邪魔なら何故迎えに来たの?
いつも1人で、誰からも受け入れてもらえなくて。
それならいっそずっと施設に居たかった‼」
「雨芽、落ち着けよ‼」
両腕をつかんで晴哉さんはそう言ったけど、私の感情は洪水のようにあふれでて止まらなかった。

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