恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~

「え、じゃねえよ。どこ投げてんだ?」


上げたボールは佑真の顎に直撃していたらしく、当たった箇所をさすっていた。


「ごっ、ごめん!」


立ち上がって、佑真の顎を覗き込む。



……あたし、何やってんだろう。


動揺するなんて、彼の思うつぼなのに。


佑真に見られないように、西川先生を小さく睨みつけると、彼はニヤリと笑ってこの場から離れて行った。



「………」



そうか。

そういうことか。



"甲子園に行けるなら、どんなことだって耐えて見せる"


あたしは昨日西川先生にそう公言した。
< 270 / 486 >

この作品をシェア

pagetop