水のない水槽

忘れていた想い

「ホント、男の子なんてつまんないわよ~。今日だってそんな晒し者になるようなトコ、行けるかとか言っちゃって。誰のおかげでそこまで育ったと思ってるのかしら(笑)」

「あら、うちだってそうよ~。朔乃はともかく、雪乃なんて1回外出たら、出っぱなしなんだから」

「どこも一緒なのねぇ。まどかも家のことなんかさっぱり」

「お母さん!!」

「文句があるなら、ちょっとくらい手伝いなさいっっっ」

「ちょっと~朔もなんか反論してよ~」


女が3人揃ったら…とはよく言ったモノで。

この日のパーティーは案の定、口を挟む間もないほど、騒がしかった。


――先輩、来なくて正解だよ。


心の中でそっと呟く。


「それにしても、ふたりともすっかり大人になっちゃったわね~」


まどかとわたしを見比べながら、先輩のお母さん――悠子さんがしみじみと呟いた。
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