百瀬君の生態記録。
顔に見覚えがあったのは気のせいではなかった。
「この事は秘密ってわかってるよね?望月さん」
そう言って長い睫の隙間からブラウン色の瞳がちらり。
息をのんだ。
どうして見たときに気づかなかったのだろう。
そう言えばこいつファーストネームは紫乃……だったっけ…。
「も、百瀬君...」
「はーい、百瀬ですよ」
何が「はーい、」だ。
本当に今目の前にいるのは〈あの〉百瀬君なのだろうか。
「ん?どうしたの、望月さん」
いやいや、ちょっと待って。
私の知ってる百瀬君じゃない。