【完】恋の太陽、愛の月
別れ

【太陽side】


………

……






「・・・どうしたんだよ。"信司兄ちゃん"」



思わず昔の呼び方に戻ってしまったひとりごと。


ひなに結婚の話をしに行ってからもう5日たった。




あれから丸岡さんの連絡も来ないまま、時間だけが流れてゆく。


不安だけが募っていた。



ようやく時間が空いてきてひなにも連絡をとることができるようになったのに、ひなも電話に出ない。


向こうで何があったんだろう。




「・・・明日で今年が終わるよ。ひな」



本当なら一緒に来年を迎えたい。

そんなささやかな願いも今は叶えることができないでいる。




「大晦日も仕事で終わるなんて・・・最悪だよ」





プルルルル


突然会社の内線がかかってきた。

どうせ仕事の内容だろうと思い、浮かない返事をした。



「もしもし。今度は何?取引先と何かあった?」


『いえ。社長に会いたいと急に来られまして・・・。社長の知り合いだと言い張るのですが、アポなしなので・・・。ですが一応念のために社長に聞いておこうと思ったので』


「僕に会いたい・・・?もしかして丸岡さん!?」


『丸岡秘書ならここ最近会社に出入りされておりません。社長に会いたがっているのは三井ひなた様という若い女性なのですが・・・』


「・・・!?今すぐその子を社長室に」


『かしこまりました』



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