【完】恋の太陽、愛の月
幼馴染の一歩先
【ひなたside】


………

……






太陽君泣いてたなぁ。

・・・私、ひどいことしちゃった。


でもきっとこれが一番いい方法。



「これからどうしよう」


お店も閉店して、家も売って。


私の手元にはお金しかなかった。

初恋の人も失い、幼馴染も失った。



東京から何故か一度地元に戻ってきたのに理由はない。

ただ、名残惜しかっただけだった。



「・・・清水さんとマスターに最後に会いに行こう」




そう思いあの喫茶店に向かった。


・・・本当はその二人以外会うつもりはなかったんだけど、たまたま出会ってしまった。この子に。



「ひなた・・・さん」


「楓ちゃん・・・?」



しかも喫茶店の目の前で。


楓ちゃんはショートヘアにパーマ、メガネからコンタクトにかえたらしく雰囲気が変わっていた。



「あの、よかったらケーキ食べていきません?私ここのケーキ大好きなんです!」


前に見せてくれた楓ちゃんの笑顔と何も変わらない今の笑顔。

私は少しだけ安心した。



「うん」
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