Dreamer
ガチャ

扉を開けると、優が私たちに気付いた。

「おっ!帰ってきた。何してたんだ?」

「何でもないよ!んじゃ~歌うよっ!」

優からの質問をうまく返し、マイクを手に取る咲を見ていたら、咲が目で合図をしてきた。

「....!!」

驚いて首を振る私に、咲はあきれた様子でため息をついた。

咲が言いたいことは分からなくもないけど、絶対できない。

咲が立てた作戦とは、簡単に言うと..."ガツンっと言っちゃえ!"だ。

つまり、告白しろと言ってるらしい。

[そんなこと、いきなり無理だよ!!]

口パクで咲に伝えると、怒ったような顔をして咲が近づいてきた。

「何言ってんのよ!!さっき頑張るって言ったじゃん!」

「で、でも~...」

私がそう言うと、しょうがないな~って言って咲は優の方に歩いて行った。

何をする気だろうと見ていると、咲のかわりに優がこっちに歩いてきた。

[えっ!?]

慌てていると優が心配そうな顔して、話しかけてきた。

「みずき、なんかあったのか?」

「えっ!?なんで..?」

「咲が、みずき何かあったみたいだから話聞いてあげてって。」

[咲のバカ~!!]

心の中で怒っても意味もなく...

「みずき、大丈夫か?俺でよかったら、話聞くよ?」

「あ...えっと、その、私...」

[どうしよう..わけがわからなくなってきた..]

うつむいているせいで、優の顔が見えないけど、今迷惑かけてるよね...

そんな私に気付いたのか、咲が何か言おうとしたときだった。

「あのね..」

「みずき!ちょっと来て!!」

前にいた優が私の手を引いて部屋を飛び出した。

「えっ!?」

部屋をでる瞬間、咲は驚いたような顔をしていたけど、私と目があったとき小さく笑っていた。

そして口が動いていた。

「が・ん・ば・っ・て」と...。



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