Dreamer
「優っ!!」

私の大きな声に、ゆっくりと振り向いた優。

私は遠くにいる優に聞こえるように、声を張り上げた。

「私、私ねっ!!優に聞いてほしいことが、まだっ!...あるの!!
...上手く言えるかぁっ!わかんないけど、でもっ聞いてほしいっ!!」

叫びながら、一歩足を前に出す。

緊張で体中が震えるのを感じながら、恐る恐る優の表情が見えるところまで近づく。

[怖い...けど、私は優に..!]

そして、私の瞳に映った優の顔は
-----笑っていた。

「え...」

私は驚きのあまり、足を止めた。

...なのになぜか、私と優の距離は近づいていて

「みずき。」

名前を呼ばれて気が付けば、足を動かしていたのは優の方だった。

「優...。」

「俺に、"聞いてほしいこと"あるんでしょ?聞かせてよ。みずきが歌ってくれた歌みたいに、素直な気持ちでさ。」

「うんっ..!」

優はそう言うと、真剣な目で私を見ていた。

[あとは、私がちゃんと言うだけなんだ...]

私は、スゥーッと息を吸い込んで口を開いた。

「私、優に言えなかったことがある。"ありがとう"じゃなくて"ごめんね"でもない、言葉。
私ね、優のことが好き。...これが伝えたかった言葉..聞いてくれて、ありがとう..。」

[....やっと、言えたっ...]

私は優のことが見れなくて、目を固く閉じた。

「.......」

「.......」

-----------------------------------------

沈黙が続いて、この場から逃げたいと思った時だった。

「っだはぁーーーー!!」

「ん...?」

優の変な声が聞こえて、私はつい目を開けてしまった。

「みずき、こっち向いて。」

「....う、うん。」

優の方を見ると、優は満足そうに微笑んでいた。

そして口を開いた。

「俺もだよ、みずき。」

「へ....?」

[俺もって...えっ!?]

「あ、あ..えっと...へ!?」

私がわけがわからなくなって慌てているのに、優はいきなり声を出して笑い出した。

「くっふははは!どんだけ焦ってんの、みずき。」

「だって、いきなり過ぎてわけが...」

「じゃあ、最後に一回だけゆっくり言うよ?」

「うん...。」

パシッ

「...!?」

その瞬間、優に手を引かれて気が付けば、私は優の腕の中にいた。

そして優がそっと呟くように言った。

「俺もみずきのこと、好きだ。」

「...っ!!!...うぅっうぅ、わあああん..!」

「ちょっ..!泣くか、普通!?」

なんて言いながら優は、子供みたいに泣きだした私の頭を、優しく撫でてくれて。

「ぷっ!優、変な顔になってるよっ?」

「あ、やっと笑った!」

「え?」

「笑ってるみずきが一番好きだ。」

「優...。」


---おでこを合わして、笑いあった...そのときだった。---


「ヤバいわっ!あの二人~!ねっ達也??」

「咲、声が大きいよ!見つかっちゃうって!!」

[.......。]

「「...っ!!!!」」

私たちは、すぐさま離れて扉に向けて歩いた。

「おい。」

「二人とも~?」

軋んだ音を鳴らしてドアを開ければ、あの双子の姿。

「ごめんて~!そんな怒んないでよ。ねっ?」

笑いながら謝る二人に、私たちは納得できないといった視線を送っていた。

「そもそも、あんたたちの恋愛相談を受けてあげたのは誰なのよ~?」

「そうだけど...って、えっ!?"あんたたち"って、優も!?」

驚いて優を見ると、顔を赤くしてそっぽを向いていた。

そんな優の代わりに、達也が答える。

「まったく大変だったよ..みずきと喧嘩した日なんて、"達也!どうしよっ!?俺、みずきのこと、泣かしちまった!!"って電話してきてさ。」

"勘弁してほしいよ"と達也は笑って言った。

そんなこと知らない私は、ただ口を開けるしかなく...。

優も同じ反応していた。


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そしてなんだかんだで...。

「んじゃ、無事この二人がくっついたお祝いに、ラーメン食べにいこっ!」

「うん!」

「いいねぇ~!ほらっ行こっみずき!」

咲と達也に流され、優はラーメンにつられてしまった。

私も呆れながら、その3人の後ろについていって...聞こえないように呟いた。

"ありがとう"って。


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