ヒールの折れたシンデレラ
第四章

(1)エマージェンシーコール

「―――午後からの先方への同行は私がします。それとこれは法務部から上がってきた決済資料です。お手数ですが本日中にご確認願います」

千鶴が宗治に一日のスケジュールについて確認をする。

我ながらそつなく仕事をこなせるようになってきた。

「だいぶん様になってきましたね」

勇矢がメタルフレームの中の目をにっこり細めて千鶴をほめると、千鶴はとたんに笑顔になる。

「なんでお前がほめるんだよ……」

ふてくされた表情で宗治がつぶやく。

「課長に褒めてもらうとうれしいです」

ひいき目なしで仕事をほめてもらえるほうが嬉しいに決まっている。

宗治に言われるとどこか点数づけが甘くなっているような気がしてならない。

単純にそう思って答えただけなのだが、宗治は気に入らなかったらしく、眉間にしわを寄せた。

そんな態度の宗治をみて「痴話げんかに巻き込まないでください」と珍しく勇矢が仕事中にからかってきたので、恥ずかしくなり千鶴は常務室を飛び出した。

(それよりも早くコンビニに行かないと)

千鶴は社会人にはあるまじき、就業中であるのに生足だった。

着用していたストッキングが破れてしまったのが原因だ。

破られてしまったというほうが正しいかもしれない。
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