先生と呼ばないで【完】

3ヶ月の月日はとても長く感じた。


冬の足音が聞こえる11月。外に出れば冷たい風が頬に突き刺さった。


今日は彼が出展した高校生国際美術展の表彰式。

私は美術の森本先生と会場にきていた。
八神くんの絵が二次審査を通過したという知らせが学校に届いたから。


八神くんがどんな絵を描いたのか、私も最後まで知らなくて。
最後の方は自分一人でやるって言ってたから…

私は結局、あまり力になれなかったな。


表彰式があるから、今日は八神くんの姿が久しぶりに見れるかもしれない。


元気に過ごしてくれているのなら、それでいい…


「斎藤先生、式が終わったら八神に会いに行きますか?」


森本先生が気を使ってそう言ってくれたけど…

私は首を横に振った。


きっと彼にはもう私は必要なくなったんだ。
だから…会う必要はない。
突然私が現れたって、迷惑に決まっているもの。


表彰式は秀作賞から順番に発表され、最後に内閣総理大臣賞の発表になった。

まだ八神くんの名前は呼ばれていない。

私も森本先生も、固唾を飲んで見守っていた。


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