出会い系ランニング
そうだ、ともちんに報告しなくっちゃ!

俺は大学で歩いてる智を見かけて、後ろから肩に腕をガッとまわしてハイテンションで話しかけた。
「ともちーん、俺もとうとう彼女持ちだぜ!」
「‥例の貞子?」
智はズレた眼鏡を中指で上げて直して、冷静な声で言った。
「もう貞子じゃないよ、髪切ってるし、あ、髪型が変っちゃ変なんだけどショートなんだ」
「それで、なに子?」
「いや、子がつくかどうかは‥」
「は?」
「実は名前聞くの忘れちゃったんだよね」
その事実を思い出すと恥ずかしい。
俺はテヘッと笑って照れをごまかした。
「バカか」
智は俺の腕を肩からどかすと、珍しく真っ直ぐ俺を見た。
「彼女出来たら、俺もうケンちゃんち行かない方がいい?」
それこそバカかっ
「な〜に言ってんだよっ」
俺は笑って、智の頭を拳で軽く小突いた。
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