出会い系ランニング

3

「今日はさ、歩きながら話そうよ」
いつものコンビニ横でエミと落ち合って、本当は片付けたばかりの部屋に誘いたかったけれど、いきなり家来ない?って聞く勇気がなくて避けてしまった。
エミが頷いて、俺はホッとして手を差し出して、家の方向へ手を繋いで歩き出した。
あぁぁ、やっぱりドキドキする。
話そうよって言っておいて、俺は緊張して暫く無口になってしまった。

「‥えっとさ、俺家あっちの方なんだよ。あっち行った事ある?」
少し先の曲がり道を指してエミに笑いかけると、彼女はこちらをチラッと見てから指差した方向を見て、小さく言った。
「ない」
ですよね‥。
コンビニから歩いて15分位の住宅街は、出入口の道から先は袋小路になっていて店らしい店もないので、知り合いの家でもない限り行く事はないだろう。
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