出会い系ランニング

4

「リッキーの写真見せて」
「あ、うん」
携帯のアルバムからエミに最初に見せたリッキーが見上げている写真を見せた。
机に携帯を置いて描き出す。
顔と身体の大きさを丸で描いて、そこへ縦横斜めの直線を何本か入れる。そうやって顔のパーツの位置を決めてるみたい。みるみる内にリッキーのつぶらな瞳が、映る光もくっきりとまるで生きてるかのように描かれた。
凄い!
片目を描いて、もう一方も描くと、納得いかないのかエミは少し首をかしげて、惜しげもなく最初に書いた方の目消しゴムで消してしまった。
あー、もったいない‥って俺は思っちゃったけど、サッサとまた位置取りをしてから描いた瞳が左右の瞳のバランスで更に命の輝きを増して見えて、俺が気付かないようなズレを分かってそれを修正出来るエミの能力に驚いた。
黙って描くエミに話しかけられなくて、俺は興奮しながら黙って見ていた。
描かれた鼻だけ見てもリッキーだって分かる。リッキーの鼻だ。
口だけ見てもリッキーだ。
顔のパーツを描いてから輪郭をザッザと大まかに描いて、耳を描いて、消しゴムで大雑把な線を消しながら細かい毛も描いて、身体を描いて最後に影を付けて立体感を出すと、明るい光の中で潤んだ瞳で見上げる可愛いリッキーが出来上がった。
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