ヴァージン=ロード

「私はずっと宗広さんとは対等に……」
『伊咲、あんたはモデルのISAKIなの。白木さんにとっては、まだISAKIなの。羽宮伊咲じゃないのよ』

 そんなことが……。

『伊咲、白木さんのこと大事に思ってるんでしょ? まだあの写真集だって世に出てないじゃない……このままでいいの?』
「……よくない」

 よくない。
 このままじゃ、よくない。

『だったら、きちんと話し合いなさい』
「わかった」

 夢乃との電話を切ってすぐ、私は宗広さんに電話をかけた。

『――お客様のかけた電話番号は……』
「……え」

 宗広さんの携帯につながらない。

 私は携帯電話を放り投げて、天井を見上げた。
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