ヴァージン=ロード

「ブーケのジンクスって本当なんですかね!」
「ちょ、ちょっと待って、相手がいないから」

 今にも飛び上がらんばかりにはしゃいでいるかおりさんには悪いけれど、事実はきちんと伝えなくてはならない。
 かおりさんは不満げに夫となる人を見上げた。

「え、そうなの? ちょっと良、冗談はやめてよ」
「相手がいない? ふーん?」

 良が意味ありげに私を見てくる。

「なによ」
「いや、あの建築デザイナーは?」

 痛いところを突かれ、私は閉口する。そんな私を、良がさらにからかう。

「あれ、その反応はまんざらじゃない?」
「そうね、ちゃんと考えなくちゃいけないよね……じゃ、素敵な式に招待してくれてありがとうね」
「おう、またな」
「ISAKIさん、今度はうちに遊びに来てください」

 私はブーケを握りしめる。

 幸せな二人に、少し勇気をもらえた気がした。






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