ヴァージン=ロード

「それで、先ほどのお話、詳しく聞かせてください」
「はい。ISAKIさんには猫をイメージしてもらいたいと思います。そうですね、部屋に迷い込んだ黒猫のイメージです」

 カノンさんは頷いた。

「なるほど、お部屋の居心地がよくって、そこに居座っちゃうんですね」
「そうです」

 なるほど、言いたいことが大体伝わってきた。

「面白いですね。わかりました。衣装はどうしましょう」

 私が訊ねると、白木さんは首をかしげる。

「そこがまだ決まっていないんです」
「それなら、FlowerGardenと契約していますし、ドリノンで行きましょう。夢乃に頼めます」
「ありがとうございます。こちらからも正式に依頼します」

 私の言葉に、白木さんが手帳に何やら書き込む。

「メイクはどうするの? 今回はISAKIちゃんメインじゃないし……」
「アップで撮らないのなら、自分でできます。たまにコータさんに教えてもらったりしてるんです」
「頼もしいわね」

 カノンさんの笑顔に、私も微笑む。

「メイクのことは何もわかりませんが、じゃあ、それで決まりですね。よろしくお願いします」

 そんな感じで大まかなことを決めた後は、カノンさんと一緒に白木さんの作品を見て、撮影に使いたい場所を選んだ。そして大体のタスクとスケジュールは次のミーティングで決めることにした。



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