RealGameー恐怖は終わらないー
あたしはグッと涙を殺して、お母さんの体を支えて立たせた。


人の上を一歩一歩、歩いて進む。


「こんな……どうして……?」


あたしに支えられながら、困惑した声を出す。


「温泉に行く途中で、事故が起こったの。 だから、早くここから出なきゃ」


「でも……お父さんが……」


そう言って振り向くと、お父さんは自力で立ってフラフラしながらでも歩いてくるのが見えた。


「大丈夫だよ。お父さんも一緒に助かるんだから」


「もう少しで……温泉につくところだったのよ……」


「そうだね。助かって、また行けばいいじゃん、今度は3人で」


割って入った窓の前まで来て、あたしは先にお母さんを外へ出した。


あたしの腰に巻いていたロープをお母さんに巻きつけ、そのまま颯真お兄ちゃんが引き上げる。
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