大キライ。






「屋上には近づくな」



「なんでよ?」



「なんででもだ」



「えーー」


「わかったな、栞」




さっきまで唯ちゃんと言い合っていたのに



突然名前を呼ばれて、私は条件反射で頷く




そしてその後、少し後悔した



屋上…行きたかったな…




でも、聖くんが言うんだから、仕方ない



聖くんはいつも正しい


聖くんの言ったことで、これまで間違っていたことなんて一度もない



だから


私は逆らわない


彼の言う通りにする



きっとこれからも


彼についていく



二人に


ついていくんでしょ









…だけど



心に引っかかる



ふとさっき振り返った



そのとき目が合った彼



私は咄嗟に目をそらしてしまったから



彼が気づいてなかったらいいけど



聖くんは、あの人がいたから


屋上に行くなと言うのかな



彼のせいなのかな



聖くんは


きっとあの人のことが嫌い



私に近づいてくる男の子はみんな煙たがってるけど



あの人は


特別、嫌っているように思える




でも、当たり前だよね



あんな


暴力を振るう人




私だって







だいきらい。


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