Polaris
自分の間違いをちゃん謝れる人間なんて、この世界には少ないとあたしは思う。


現にあたしだって、自分のことを棚に上げて、溝口店長に食って掛かっている。


「すいませんでした。でも、あたしは譲りませんよ」


簡単には、譲らない。


「それはハナ次第だ。稼ぎの良い奴がナンバー1。それは俺が決めたことじゃねぇ。世間が決めたことだ」


当たり前のことを隼人に言われ、ムッとする。


「うちのナンバー1はミライさんです。けど、それじゃダメなんです」


何がダメなんだろう。


「ミライさんが辞めた後、この店は傾きます」

「リュウ。それは、ミライのことを買いすぎだ」

「お前もわかってるだろ。うちの売り上げは、大半がミライさんです。先のことを考えて次のナンバー1候補を用意するのは、店としては当たり前です」


お店の内情を良く知らないあたしにとって、そんなことを言われてもよくわからない。


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