トナカイ×トナカイ~いちごのケーキ~
こほん、とひとつ咳払いをして、誇らしげに教えてくれた。

「わしが、苺栽培をしていたからじゃ。」

栽培? 農業?!

「サンタクロースがいちごの面倒見てたんですか!?」

「今もだろ。」

冷静に突っ込む優樹。

サンタは暖炉のほうに目をやった。

その瞳は、暖炉の光で懐かしそうに輝いていた。

「苺は春に花を咲かせ、

夏に実をつける。

昔は温室なんて珍しかったから、

冬の苺なんて絶対ありえなかった。」

トナカイが「うんうん」とうなずいている。

「だから、

プレゼントに添えておくと証拠になったんだよ。

 『ホントに本物のサンタが来た!』ってな。」
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