その結婚、取扱い注意!

添乗員として

数日後、仕事をしていると久我さんがやってきてランチに誘われた。
近場のイタリアンの店に行き、オーダーを済ませていると久我さんが重いため息を吐いた。

「どうしたの? ため息なんて吐いて」

ランチに誘われた時からなにかあると思ったけれど、憂鬱そうな久我さんに小首を傾げて見る。

「美海はいいな~って思って」
「なにを突然?」
「だって、田代部長と旅行に行くんだもん」
「旅行に行くんだもんって、仕事でしょっ」

久我さんの言葉に呆気にとられる。

「仕事でも海外に一緒に行くなんていいな~ 羨ましい! 一緒に行きたい!」
「久我さん……」
「ごめん。美海」

そこでもう一度久我さんの口からため息が漏れる。

「ううん」
「8日間田代部長、日本にいないでしょ。顔が見られないなんて寂しいなって。考えれば考えるほど寂しくなって……」
「うん。わかるよ」

田代部長の娘さんとまだ上手くいっていないせいで余計心細くなるんだろうな。私も8日間湊に会えなくて寂しいから、久我さんの気持ちもよくわかる。

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