シニガミチェーンメール



七時に母に起こされて、



綾介は一階に下りる。



美結は今日も元気に、



ニコニコと笑っている。



そんな美結を見て



綾介は複雑すぎる思いを抱えたまま、



駅に向かった。



玄関を出る前に、



冷蔵庫を弄ると、



二つのヤクルトを鞄に詰めて、



自転車に乗り込む。



自分でも馬鹿らしいとは思ったが、



なぜか、



持って行きたい気分になったのだ。



空は昨日とは違う快晴。



雲は一つもなく、



太陽は優しく町を照らし、



綾介の黒い髪を際立たせた。



駅に着くと、



久琉斗に鞄の中から出したヤクルトを



軽く投げる。



「…おはよ。そら」



「…ん?ヤクルト…か。…あんがと」



久琉斗は一気に飲み、



綾介は少しずつ飲んでから、



屑籠に放り込む。



教室につくまで、



二人は一言も喋らなかった。



胸が締め付けられるほど、



嫌な予感がしたからだ。



綾介は息苦しさを押し殺す。



__今日、何かがある。



確信した。



胸騒ぎを感じながら、



教室の扉を開けた。



< 105 / 170 >

この作品をシェア

pagetop