シニガミチェーンメール



九人はその音に過剰に反応し、



一人が携帯を取り出して



見る。



最初は__瀬田 皆子。



「っ…」




♫ピロリンロリン♫




皆子が、叶にメールを送る。



__もう、モルテが誰が、



だいたいの予想がついた__



と思ったが、現実は解らないものだ。




♫ピロロロロン♫





叶が送ったのは綾介で、



鳴ったのは綾介の携帯なのだから。



「…っ」



綾介は、宛先を久琉斗に設定し、



送信ボタンを押した。



数秒後、綾介の後ろから



メールの着信音が鳴る。



俺は久琉斗以外はどうでも良いのか?



たとえ消えても、生きていても。



そう考えると、



果てしないほどの罪悪感と



自己嫌悪に苛まれた。



そして、あと、二人。



「っ…僕は…生きたいっ…」



笠山 悠と、



「…笠山を選んだら…
呪い殺してやるからなっ…」



屋良 裕理だ。



どっちを生かすか決めるのは、



目立たない組の石川 新太。



携帯を手に、ガタガタ震えている。



そういえば…



自分にメールが回ってきたら、



もう、



他の奴らのことはどうでも良いんだな。



自分が終われば、



他人の選択を見世物みたいに



眺めてるだけだ…



「…どっちを消せば…?」



新太が茫然自失としたようで、



問うた相手も解っていないようだ。



そのまま刻々と、



時間だけが過ぎていき、



残った時間は__あと、三十秒。



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