シニガミチェーンメール



「誰がモルテになると思う…?」



綾介が久琉斗にソッと話しかけた。



久琉斗は緊張の面持ちで



携帯を握りしめたまま、



その問いに答える。



「クラスで人気がない奴…
または、友達が居ない奴…」



「だよな」



二人の携帯は、まだ鳴っていない。



「とすると…三吉あたりか?」



綾介がチラッと



三吉 黒(ミヨシ クロ)という男子を見た。



眼鏡をかけていて、



見るからにガリ勉だ。



髪は黒く不潔感溢れるように、



テカっている。



そんな黒は、



やはりクラスの全員から



敬遠されており、



普段は勉強をしているのに、



目を見開きながら



携帯を憎々しそうに見つめていた。



力の入れすぎで、



手がプルプルと震えている。



「わからない。渡辺あたりもヤバい…」



久琉斗が俯いたまま、



そう返事を返した。



渡辺 瑠々子(ワタナベルルコ)。



誰とも仲良くしようとせず、



まるで一匹狼に



誇りを持っているかのように



振る舞う瑠々子に、



二十七人は嫌悪感を抱いている。



そんな瑠々子は、



いつも無表情だ。



「岡沢もヤバくね〜か…」



綾介がはぁ…と深くため息をつく。



岡沢 竜人(オカサワ タツヒト)は、



クラス一賢いと思っているのか、



いつもクラスメイトに対して



上から目線だ。



しかも命令口調も備わっており、



イジメられる事もしばしば。



しかし、



本人はどこが悪いのか解っておらず、



懲りずに嫌われる行為を繰り返すのだ。



綾介と久琉斗が上げた、



モルテ候補者は三人。



話が終わった丁度その時、



久琉斗の携帯が、





♫ピロロン♫





と軽やかな音を奏でた。



< 34 / 170 >

この作品をシェア

pagetop