封船屋
テストが近く迫り、最近は図書館へ行っていた。

私の良く行く図書館は、静かに自習や読書が出来るスペースがある。
左右と前が仕切りで区切られており、備え付けの電気スタンドもあった。
周りを気にしなくてすむので、勉強場所としてとても重宝していた。

テスト前には、閉館までいることもしばしばあった。
授業も終わり、支度をしていたときだった。



「海音ー、今日も図書館行くの?」


同じクラスの矢坂桃だった。長く伸びた髪をゆるく巻いていて、背の小さな可愛らしい子だ。

だが、ヒヨコのようにどこにでも私について来ようとするので、あまり好きではなかった。

< 29 / 42 >

この作品をシェア

pagetop