冷たい上司の秘密の誘惑
…ふざけるなと言われるかもしれない。

…笑われるかもしれない。

それでもいい、この事だけは、誰にも譲れない。


「分け合って、本社にいた女子社員が、

埼玉支社に左遷されたんです。・・・彼女を、

この手に取り戻したいんです、それが、埼玉に行きたい理由です」


「・・・そんな事、その女子社員を、こっちに呼び戻せばいい」

叔父は、万年筆をデスクでコツコツ鳴らす。

…苛立っているのが分かった。


「それでは、彼女はオレの物にならないから、行くんです」

どうやったって、オレの気持ちは変わらない。



「…どういったって、光世の気持ちは変わらんようだな」

「・・・はい」

・・・しばしの沈黙。

オレは叔父の答えを待った。



「…仕方がない、埼玉に行かせよう」

「本当ですか!ありがとうござます」


「ただし!」

「・・・?」


「埼玉支社を立て直すことが条件だ」

「…立て直す?」

…叔父の言っている意味が理解できなかった。
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