冷たい上司の秘密の誘惑
…誠がいなくなり、オレと美穂の二人きりになった。

「・・・ずっと、黙ってて悪かったな」

両手で抱きしめて、美穂に呟く。


「・・・ずっと、篠田部長の事、嫌いでした」
「・・・」

「私にだけ意地悪で、いつも怒ってて、

他の女子社員には綺麗な笑顔見せるのに、

私には全然見せてくれなくて・・・悲しくて。

それなのに、会社以外では色んな篠田部長の顔見せられて、

私の事を、どう思ってるのかわからなくて・・・

篠田部長と過ごしてるうちに、大好きになってて・・・

でも、気が付いた時は、離れ離れになってしまって・・・

このモヤモヤは、この会社にいる限り、ずっと続くんだろうなって」


「…美穂」

美穂の複雑な気持ちを、くみ取ってやれなくて、

こんな思いをさせるくらいなら、もっとストレートに、

自分の気持ちを伝えればよかった…そう思わずにいられなかった。


オレは、美穂の顎をそっと持ち上げ、優しくキスをする。

美穂は黙って、そのキスを受け入れた。

…こんなに愛しいと思える女に出会ったのは、これが最初で最後かもしれない。

「…大事にする」

美穂の瞳をジッと見つめて、オレは心から誓った。
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