LOVE School Life Ⅰ【完結】

「秋人、いつ来たの?」

「え?愛ちゃんが来る少し前」

「嘘」

「嘘じゃないよ、本当」

「じゃあ、何でこんなに手が冷たいの?」

「…寒くなって来たからじゃないかな」


そう、真面目に言ったのに、秋人は目を細めて笑う。
いつもの笑顔じゃない癖に。

顔がぎこちないよ。

そんな秋人に奥歯を噛み締める。


「はぐらかさないで」

「……」

「いつから来てたの?」

「わかんない」

「はあ?」


わかんないって。
わかんない程に早く来てるって事?
時間は見てないわけ?


様々な疑問が浮かんでは消える。

秋人は一向に口を開こうとはしない。




「…風邪、引くって…」


私はぽつりと呟く様に言った。
こんなに手が冷えてるって事は、身体だって冷えてるはず。

片手を取ると、両手で包み込む。

少しでも温かくなる様に。



「…愛ちゃん」


そう、独白する秋人がふわりと空いてる腕を回して私を抱き締める。
その身体は、やっぱり冷たい。
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