極上エリートの甘美な溺愛

堪えきれずに漏れたとわかる将平の低い声からは、あからさまな後悔が伝わってくる。

玲華の体を抱きしめる手からも、次第に力が抜け、同時に解放されていく。

玲華は、高校生の時にもそう言われて告白を拒否されたことを思い出した。

玲華を見つめるつらそうな表情もあの時と同じだ。

どうしても自分の気持ちを受け入れてはもらえないと、そう感じて絶望したあの日の痛みが何倍もの苦しみとなって再び玲華を襲う。

『わるい……』

そんな言葉、聞きたくはなかったと、玲華は唇をかみしめた。

その言葉と、震えるほどの悲しい記憶によって、8年間封印していた思いがよみがえり、涙が出てきた。

将平が玲華の思いを拒んだだけではなく、他の女の子の気持ちを受け入れたあの日の悲しみは、不意に玲華を痛めつける。

瞳の奥に溢れる熱いものを我慢できないまま、玲華は視線を上げてぐっと力を込めた。

「ねえ、あの時どうして私じゃだめだったの?美保の方がきれいだったから?」


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