レンタル彼氏【完全版】
順二は泣きじゃくる私の頬に手を伸ばす。


「…幸せになれよ」


「………っ、う~っ…」


“ただ、泉が幸せじゃないなら諦めつかねーだけなの”


「じゅっ、じぃ…」


「…ふは、落ち着いてから話せよ」


私はその言葉に首を横にふるふると振る。


今。
今、言わないと。


「…私っ…、幸せ、だから…」


「…………」



私の頭を優しく撫でていた手が止まる。

私は息を大きく吸い込んでから、大きく吐き出した。
それからゆっくりと話しだす。


「……伊織と、出会えたこと…。
和と出会えたこと…。
順二と出会えたこと…。

生まれてきたこと…。


全てが…。
幸せなんだ。


後悔は、もうしない。

だから…安心してね?」


「……………」


「…順二…ありがとう。
ありがとう。

私を、好きでいてくれてありがとう。

本当に本当に嬉しかっ…」


私が言い終わるより先に、順二が私を強く強く抱き締めた。


「……じゅっ…」


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