レンタル彼氏【完全版】
ペットボトルを机の上に置くと、俺は呟いた。


「…仕事、だ」



俺は今、工場で仕分けや、力仕事、事務など様々なことをしている。
給料なんか、レンタル彼氏として働いていた時の何分の一だかわからない。

それでも、俺は不自由していなかった。


あまり目立ったことをしたくなかったから、鈴恵さんからこの工場を紹介された時は飛び付いた。


この不景気、やっぱり中学すらろくに卒業してない俺が就職出来る場所なんかなかったから。


顔と、スタイルを頼りに生きてきた俺だったから。


今の仕事を始めて、もう半年になる。
仕事は真面目に頑張った。


そのお陰で、色々仕事を教えてもらえて充実してると思う。


休みは専ら家で過ごしていた。
たまに来る美佳の手紙を見たりしながら。

いつも一方的で住所も書いていない。


美佳は売春斡旋の容疑でしばらく補導院に入っていた。


お金を支払えばよかったのに、そうしなかったのはきちんと罪を償いたいからだと。
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